一九六八年以降の世界的な景気波動の下向傾向は、すでにその社民的福祉主義を不可能にしつつあったし、八九/九一年の冷戦体制の崩壊は、決して先進資本主義国リベラリズムの「勝利」(歴史の終焉!)ではなく、その破棄と別途(戦時体制!)への政策転換を決定的にするものであったと見なすべきである。元来が軍事テクノロジーとしてあったITが民間へと流入してきたことを目して、オプティミスティックな「IT革命」なる観念が流布したが、それは同時に、市民社会の戦時体制化とも捉えねばならないのではあるまいか。
「IT革命」に象徴されるところの、新たな資本主義段階(いわゆる後期資本主義)は、国民を――たとえば、兵士として、あるいは労働力として――総動員する必要はない。それは相対的過剰人口でさえなく、絶対的な過剰人口である。SF的に言えば、資本はもはや(ほとんど)労働力を必要とせず、戦争も(ほとんど)兵士を必要としない。しかし、過剰に存在する人間は殺すわけにはいかないのだから、彼らをいかに管理し隔離しておくかが問題となる。それは、いわゆるアンダークラスと呼ばれる階級として、管理されることになるだろう。これが、冷戦以降に顕在化した戦時管理体制にほかならない。