« 救援連絡センターの指定する弁護士を選任する | メイン | なにも好きこのんで捕まっているわけではない »

ファシズム禅問答

 今回獄中から書き送る一連の文章の中で、今から書く一文がもっとも重要なものとなるだろう。心して読むべし。

 今回の出来事に関して、獄中にいる私のところまで聞こえてくる反応というのはもちろんそんなに多くはないのだが、スタッフや友人・知人のそれを含めて、私の真意を理解している者はおそらくほとんど居ないように感じている。なにも身内を非難しているわけではなく、これはもう仕方ないのである。なにしろ「ファシズム」は難解なのだから。天才思想家たる私が20年近い歳月をひたすら革命家として精進して、ようやくたどり着いた境地に、たかだか数ヶ月であっさり立ち至られては私の立場がない。ファシズムをちゃんと理解するには、少なくとも私の塾で半年間みっちり鍛えられなければならない。

 だがファシズムは決して難解な思想ではない。

 一体どっちなんだ! もちろんどっちでもある。要するに禅みたいなもので、簡単といえば簡単だし、恐ろしく難解だともいえる。分かる人はパッとコツをつかむみたいに分かるし、えんえん苦労する人もいる。まさにファシズムは不立文字、その言葉ではうまく云い表せないファシズムの奥義を、今回は臨時総統みずから開示し、伝授してやろうというまことにありがたい話だ。

 まあとにかくあの最重要論文、「戦争は遠いアフガンやイラクでなく、他ならぬこの日本国内で起きている」と、「まったく新しい左右対立--イデオロギーX--」を何度も何度も熟読すべし。

 その上で、次の「公案」だ。

 「自衛隊員の官舎の集合ポストに反戦ビラを投函して捕まった者がある」
 「とんでもないハレンチ犯だ。死刑にしてしまえ」

 「つきあってた女を殴って捕まった者がある」
 「政治弾圧を許してはならない。全力で救援せよ」

 「公園のトイレに反戦とかスペクタクル社会とか落書きして捕まった者がある」
 「とんでもないハレンチ犯だ。死刑にしてしまえ」

 「飲酒運転で捕まったものがある」
 「政治弾圧を許してはならない。全力で救援せよ」

 脳捻転をひきおこす位頭を悩ませてほしい。しかし本当はそんなに難しくはないのだ。
 ああでもないこうでもないといろいろ考えあぐねているうちに、パッと閃いて、「まったくそのとおりだよなあ」と深く合点すれば君はもうファシズム有段者だ。

 ヒントを補足しておくと、とある大学で学生運動弾圧がおこなわれているとしよう。ある学生は、過激な党派に属しているというそれだけの理由で、やってもいない罪をデッチ上げられて逮捕された。別の学生は、現場で大学職員と口論しているうつに、「ついカッとなって」相手をブン殴ってしまい、当然のごとく逮捕された。「まったく新しい戦時体制下」たる現在においては、後者をこそ不当な政治弾圧として全力で問題化しなければならないということだ。

 このヒント、やばいな。

---
トップページで最新情報を提供中!

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.warewaredan.com/mt/mt-tb.cgi/187

コメント (7)

ポール:

となると、最近実際にあった
「児童の写真をウェブから転載したり個人的にメールで送信したりして捕まった教師がいる」
に対しては
「政治弾圧を許してはならない。全力で救援せよ」
と思うのですが、これが正解でしょうか?

不生不滅:

むむむうう

数学が出来るファシストとは、恐れ入りました。

正にファシスト中ファシスト凄すぎです。

王の鉞にふれた方のようですね。


はじめまして。呟き尾形と申します。

 公安ということで、自分の中で納得はしないものの、死刑の基準は、偽善のようにおもわれます。

 

スクラップ&スクラップ:

これから外山先生を我が人生の師として生きていきたいと思います。我々団にも準団員として参加させていただきます

匿名:

もともと、セキュリティの確保の必要が謳われたのは、(テロリストたちの攻撃からアメリカの)自由と民主主義を守るためであった。だが、セキュリティの水準を徹底的に上昇させた場合には、自由や民主主義そのものが、セキュリティによって侵食されてしまうのである。

なんだかウィルス対策に過剰になりすぎてPCが重くなってしまうノー○ン・アンチウィルスみたいな感じですね。

なつみかん:

私も少数派です。当選してビビリたいです。

なつみかん:

私も少数派です。当選してビビリたいです。東京在住です。
先生は東京で立候補はもうしないのでしょうか?九州は遠すぎます。
そして新しい政党を作ることはないのでしょうか?

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2007年07月06日 02:38に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「救援連絡センターの指定する弁護士を選任する」です。

次の投稿は「なにも好きこのんで捕まっているわけではない」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。