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西部邁・宮崎学『酒場の真剣話』(表現者2005年12月号別冊)より西部発言部分

 天皇の唯一と言いたくなるくらいの機能というのは、一億二千六百万人に共通の時間認識を、時代という名の時間認識を与えることだと。渡辺昇一さんのように、昭和天皇は賢帝であられた、二・ニ六もおさめたし大東亜戦争もおさめた、というようなことは、僕にとってはどうでもいいことなんだね。そんなこといい始めたら、大正天皇は愚帝であられたとか(笑)、ひょっとしたら脳梅毒だったって説もあるってことまで議論しなきゃいけなくなる。
 もちろんそういうことを議論しないといけないレベルもあるんだけど、その前に天皇が賢かろうがバカであろうが何であろうが、やっぱり天皇という存在によって、天皇はある時に生まれてある時に死す、人間、それと同じように、それに象徴されるように、時代もある時に生まれてある時に終わる。というふうにして年号の最大の機能っていうのは、人間が生まれて死ぬと(いう)ことを比喩するようにして時代が生まれて終わる、ということを示す点です。人間で言えば、自分は死ぬけれども自分の子孫がいる。別に血統でなくてもいいんですけどね。自分と関連を持った人たちが自分の死後もまだまだ生きてるっていうことで、人間の歴史的連鎖っていうものが、天皇によって象徴されている。言い換えれば、死すべき者としての人間たちが自分たちの時代に死生観上の意味を付与するということです。そういう意味で、ものすごい抽象的な機能を持ってるんだと思った時に天皇制を否定できなくなった。

      ※      ※      ※

 西部センセイは、私(外山)自身が獄中で“転向”するはるか以前から、私がほとんど唯一好感を抱いていた保守論客である。ここでセンセイが述べていること、これは、私が獄中で天皇制を肯定することに決めた際に組み立てたロジックとまったく同じで、読んでちょっとびっくりした。
 この対談本の中では、イタリア・ファシズム肯定論など、他にもびっくりするような符合がいっぱいあるのだが、とくにこの箇所、「天皇」を決して「信じて」いるわけではない、つまりナショナリストとは発想を異にするファシストが天皇制を肯定する時に、唯一依拠できる論理だと思う。

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コメント (4)

賢帝を礼賛する事自身は よきことですが 賢帝であるからすばらしいとなると いさいさかあやしいにおいがしてきます
万世一系とはそれ自体とうとく 治世のいかんによりません
共時的あるいは構造的には 生命の大生命への不二一体であり 通時あるいは歴史では 神武神勅による 永久建国と皇胤による御統治御総覧に今上がつらなってあらせらることが まさに天からの連続性・永遠性を全国民に付与するという 神聖国家・神国日本の国体の柱です

野村和史:

多数決で物事を決める政治は必ずしも民主主義政治とは言えない。
国民が政治家に騙されている事を誰も気づいていない。
君は勇気ある発言をしている。
曰く

「少数派の諸君、多数派を説得することなどできない!

奴ら多数派は、我々少数派の声に耳を傾けることはない!」

「奴ら多数派が支配する、こんなくだらない国は、もはや滅ぼす以外にない!」
  ※ (「国」を「政治家ども」としてもらいたい)

「改革なんかいくらやったって無駄だっ!」

「いま進められている様々な改革は、どうせ全部すべて奴ら多数派のための改革じゃないか!」

「我々少数派はそんなものに期待しないし、もちろん協力もしない!」

「我々少数派はもうこんな国に何も望まない!」
※ (「国」を「政治家ども」としてもらいたい)


「我々少数派に残された選択肢はただひとつ!

こんな国はもう滅ぼすことだ!」

※ (「国」を「政治家ども」としてもらいたい)

「ぶっちゃけて言えば、もはや政府転覆しかない!

少数派の諸君、これを機会に、政府転覆の恐ろしーい陰謀を、ともに進めていこうではないか!」
※ (「政府転覆」「陰謀」について詳しく教えてもらいたい)


君が立候補した事は大変意義がある。

参議院選挙にも立候補する事を期待する。
当選なんかしなくても良い。
立候補して発言する事に意義がある。
立候補しなければこのような勇気ある発言が出来ないから。

K:

これを読む限りあなたはワザとキャラを演じてるとしか思えない。

近いうちに本当の姿を見れることを期待しています

qqq:

「酒場の真剣話」。女王卑弥呼の統治に対してこの2人組が言ってることがそっくり当てはまる。天皇ヒロヒトでなければ成立しないことをあってこそ、このバカ2人組が賛嘆する価値がこの2名においてあるのだ、ということをまったく分かっていないだろ。公安警察に媚び売ってるのではないか。何の意味も価値もない対談です。
公安警察に生活妨害受けて来ていますが、外山さんの政府転覆は公安警察を解散させるのなら、支援したいですね。

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2007年02月07日 02:17に投稿されたエントリーのページです。

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