獄中短歌「百回休み」107
時を経て釈放されてゆく先は男女共同参画社会
最初に浮かんだのは「釈放されてゆく先は」というフレーズである。七・五になっている。五・七・五・七・七の中に入れられる箇所は1つしかない。
“長い獄中生活の末に”というニュアンスは必要だろうから、冒頭に「時を経て」と入れてみた。「釈放」の語があるから「時」が“長い獄中生活”を指すことはそれだけで表現されるだろう。
さて問題は、オレは一体どこへ、どういう世の中へ放り出されることになるのか、ということの表現である。
「時を経て釈放されてゆく先は……」となかなか大仰な雰囲気だし、むしろなるべくバカバカしいほうがいい。そして同時に、入獄した時点のそれとはまったく違う社会に放り出されるのだ、というニュアンスも絶対に必要である。“世の中の激変ぶりにとまどう”というのは、『幸福の黄色いハンカチ』以来、“前科者”テーマの定番ネタでもある。
最終的にこの七・七を思いついて獄中でニヤニヤしてしまった。くっだらねー!と我ながら思う一方、獄中でファシズム転向し、今後は古巣の左翼方面に気兼ねすることなく“反ポリコレ”を声高に叫んでよい立場を確保したわけだし、“これから新たな闘いに臨むのだ”という悲壮な決意も(バカバカしさを伴いつつ)表現できている。
実際ポリコレ政策はまさに怒濤の勢いで、私が獄中にいたわずか2年の間にも社会を改造しまくっていた。