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今回の逮捕、勾留は明らかに不当であります。
取調べにおいて黙秘することが不利に働くことなど原理的にありえず、またあってはならないはずです。
そもそも私は、任意出頭の要請を受けている段階から一貫して正式裁判を望んでおり、また仮に出頭したとしても捜査当局の取調べに対しては黙秘するから意味がない、機械的な記録データなど、客観的な証拠を元に、起訴相当と考えるならば起訴すべしと何度も口頭で通告し、また同じ主旨を二度にわたって文書でも通告しています。
そして実際に私は、逮捕以来、予告どおり一貫して黙秘を続けており、捜査当局は私の事件について何ら新しい証拠を得ることができずにいます。そもそも私を拘束して取り調べることによって新たに得られる証拠など、私の自白調書以外にはあり得ず、彼らが私を逮捕した目的も、ただ私の自白調書をとること以外にはあり得ません。
そもそも今回の事件は、必ずしも本人の自白調書なしに公判を維持できないようなケースなのか? 私にはとてもそのようには思えません。彼らの手元にある、事件当時の記録などで充分に立件可能です。
にもかかわらず私が逮捕拘留されているのは、まず何よりも「自白偏重」と表現される、わが国の司法全体に蔓延する後進国的としか云いようのない一刻も早く改められるべき風潮です。第二に、必要のない拘束を続けることで被疑者を心理的に追いつめ、捜査当局に都合のよい供述や振る舞いを引き出そうという、これまた後進国特有のやり口で、わが国のそれも含めこれは「人質司法」として国際的にもつとに問題視され、改善を強く求められているところです。いわゆる志布志事件をみるまでもなく、こうした自白偏重や人質司法は冤罪の温床でもあり、本来公平中立の立場にある裁判官が、捜査当局側に偏り、請求される逮捕状や勾留状を無批判にポコポコまんまと出してしまうのが一番悪い。
私は現在も、とくだん必要性が高いとも思われない自白調書をとることだけを目的に、しかも私は今後も捜査当局に対しては黙秘を続けますから、ますます無意味な拘束をされていることになります。
一藤哲志裁判官が認めた勾留理由にはまず「証拠隠滅のおそれ」なるものがありますが、私はいったい何をすればいいのですか? 犯行現場にまいもどり、一方通行の標識を引っこ抜いてくればいいんですか? それとも深夜に警察署に忍び込んで、私の交通違反の記録すべてを破棄して回ればいいんですか? 私の想像力が貧困なんですか? 何か私の思いつかない画期的な証拠隠滅の方法があるのなら、後学のためにぜひうかがいたい。現実的な証拠隠滅の方法を私にここで提示できないのなら、まず勾留理由の「証拠隠滅のため」というのを除外しなさい。
次に「逃亡のおそれ」。私は先述のとおり、当初から正式裁判を望み、捜査当局からの出頭要請には応じないが、公訴が提起された場合、公判廷には必ず出廷する旨、口頭でも書面でもくりかえし表明しているところであります。
そもそも、当初は計1万5000円の反則金の納入を求められたにすぎない今回のような軽微な事例において、私としては仮に敗訴した場合でも最大数万円規模の罰金刑を予想しています。これに対し、刑事裁判で出廷を拒んだり、まして逃亡すれば間違いなく逮捕され、しかもこの場合の逮捕は現在私がされているそれと違い正当で、どんなに少なくとも数ヶ月は拘束されますし、またいよいよ裁判官の心証を悪くして、刑自体も重くなるでしょう。わずか数万円のためにそこまで大きなリスクをおかすなど、非現実的であり、ありえません。今回の事例で、仮に有罪となった場合に予想される量刑と、逃亡した場合に私に生じる不利益とを法の専門家の立場で比較検討し、「逃亡のおそれ」はまずないという常識的な判断をお願いしたい。
以上、今回の事例においてはそもそも逮捕が不当であり、ましてこれ以上の勾留を続けることは著しく正義に反しますので、即刻私を釈放するよう要求します。
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