『人民の敵』創刊号(2014.10.1発行)


コンテンツ1
〈座談会〉with 大石規雄・佐藤悟志・山本和幸
〈正規版“購読”検討用・抜粋〉


外山 詳しくは忘れちゃったけど、藤村君によればAKBはネオリベだ、と。
佐藤 そりゃそうだよ。
外山 うん。だから“ネオコン”の佐藤悟志がAKB支持なのは辻褄が合ってるんだ、と。
佐藤 だって上海やジャカルタまで進出して“大東亜共栄圏”を建設してるんだよ。面白いのは、上海のAKB(SNH48)のメンバーはもちろん現地の中国人の女の子たちなんだけど、当然そこでも“AKB総選挙”をやるんです。これがまた盛り上がってて、というのもそれは事実上、中国人が初めて経験する直接選挙なわけだ。
大石 あ、面白い(笑)。
山本 民主主義を輸出してるのか。
外山 民主主義じゃないよ、金権選挙なんだし(笑)。
佐藤 だけどそれによって“総選挙”の醍醐味を中国人が覚えてしまうと、中共的にはヤバいんだ。そのうち禁止されるんじゃないかと思って(笑)。


山本 最近ある人から、男組の界隈で「山本君を男組に引っ張れれば新風は瓦解する」と云われてるって話を聞いて……。
大石 山本君、大物じゃないですか(笑)。
山本 ぼくは新風の中でそんなに枢要な位置にはいないですよ。
外山 しかしあの「舛添ホメ殺し」の動画を観れば、どこの団体でも“是非ウチに”って思うよ。
山本 いや、なんか“山本君は話が分かる奴だから”と云われてるらしい。
外山 そうか、それは山本君を誤解してるね。鈴木邦男もそうだけど、山本君も“右翼界の高田純次”だから。
山本 そうですよね。
佐藤 そこで認めちゃいかんだろ(笑)。
外山 常にその場の勢いでテキトーに相槌を打ってるだけで、発言に何の“心”もこもってないんだから。それで誰とでもすぐ打ち解けられるんだけど、そういうのは“話が分かる”とは云わない(笑)。
佐藤 え、山本君ってそんな人だったの?
外山 とりあえずその場が盛り上がればいいやって感覚でしか振る舞ってない。
山本 そういうところはありますね、高田純次ほどではないと思いますが。
外山 陛下への思いさえ本物であれば、それでいいんだという。
山本 その他の問題なんか全部些細なことですから。
佐藤 “高田純次”に陛下への思いを語られたって全く信用できないよ!(笑)


外山 最近ぼくは“中華主義”を標榜してるんですよ。
大石 中国がちゃんとしてれば……みたいな話はしてたよね。
外山 そうそう。いわゆる歴史認識問題についても、東アジアの盟主としての責任感のもとに中国が「おれたちがしっかりしてなかったから、苦労をかけたな」って日本や南北朝鮮に云ってくれれば、全部解決するじゃないですか。
大石 なるほど。
佐藤 食べ物をもうちょっと注文しない?
山本 そんな戯れ言には付き合ってられん、と(笑)。
大石 まあ中国が中心になって、いいことをしてくれるんだったら別にいいけど、日本や朝鮮半島までチベットやウイグルみたいにされたら困る。
外山 今はまだ冷戦時代からのいろんな問題を東アジアは引きずってるし、領土問題その他で揉めてる国も多いから、周辺諸国はどこも中国に対しては警戒感の方が先に立ってるけど、そんなこと云ってたって事実としてもう中国を抑え込むことはできないと思うんだ。
大石 そうかなあ。
外山 中国に対抗するにはもう“ホメ殺し”しかないよ。
大石 中国に攻め込んで占領する、みたいなことは無理だけど、そうでなければ今でも充分対抗できてるんじゃないかな。
佐藤 いつもの調子で外山恒一がまた何か面白いこと云ってるだけだと思ってたから、全然気にしてなかったんだけど(笑)。
山本 どこまで本気で云ってるのか、よく分からない。


外山 最近ちょっと思いついた陰謀としては、ツイッターでも書き出しだけ公開した“外山上表文”ね。
佐藤 何ですかそれは。
外山 中国共産党指導部に手紙を書こうと。「日が昇る方角にあって縁起がいい、ぐらいしか自慢するところがない東の辺境のしがない(国家)社会主義政党のお山の大将が、日が沈む方角にあるとかディスられたところで屁でもない、世界に冠たる大国を統べる社会主義政党の偉大な指導者たちにお手紙します。つつがなきや」っていう(笑)。で、本文に入るとだんだん、過去の戦争についても「本来は中国を中心に東アジアが団結して欧米列強と戦わなければいけなかった」という観点から、中国が責任をまっとうしなかったがゆえに“器でもない”日本が肩代わりせざるをえなくなって悲惨な結果を招いた、とあくまで中華主義に基づいて日本の戦争責任をどんどん免罪していく。
山本 推古帝以来の伝統に基づくホメ殺しですね(笑)。
外山 今度こそ東アジアは中国を中心に団結して欧米列強に対抗しよう、と最後までゴマをする。その手紙を最初から中国語で、もちろん本当に中国共産党宛に郵送したって届かないから、ネットに上げる。そしたら面白がってくれる中国のネット民は結構いるんじゃないか。
大石 それはいいかもしれませんね。
外山 中国で話題になればいい。
山本 以前の“アメリカ大統領選・立候補演説”も……。
外山 うん、日本よりもむしろアメリカで観られてた。だから今回も、中国で人気者になろうかと。「ワイシャン(外山)とかいう土人の酋長は、礼節をわきまえてて見所があるじゃないか」って(笑)。
佐藤 かといって中国に媚びると日本国内での評判は落ちるから、難しい。
外山 でも国会にも地方議会にも議席を持たない政治団体の代表が中国人に大人気っていう現象は面白いでしょ。
大石 なるほど。
佐藤 中国人のオタクっていっぱいいて、彼らは日本文化が大好きだから、それこそAV女優の「蒼井そら」とか中国版ツイッターもやってて、日本人で一番、中国人のフォロワーを持ってたりする。
山本 ネット・ジョークでもありますよね、「蒼井空が“尖閣諸島は日本の領土だ”と云えば中国人も“そうだ、そうだ”と云い出すだろう」って。
佐藤 そういうふうにまず中国市場で評価されて、その実績を振りかざして日本市場に参入するって方法は、たしかにあるかもしらんね。


山本 ではそろそろ、外山恒一の“中華主義”に対する非難決議を採択しましょうか(笑)。
佐藤 正気に返れ(笑)。ラリってんじゃねーよ、と。もっと日本のマーケットに適した立場を掲げなきゃ。
外山 もちろん日本の大衆向けには……。
佐藤 ヘイトスピーチの方がウケるよ。
外山 しかし今ここに集まってるのは、革命指導部の方々なんだから(笑)。
佐藤 中国語を覚えて、中国版ツイッターに登場すればいいんじゃないの。中国をヨイショしてる日本のオカしなファシストとして売り出せば。
大石 日本にバレなきゃ、それはいいですね。
外山 絶対すぐバレるけどね(笑)。
山本 「保守速報」とかで叩きまくられますよ(笑)。


外山 ぼくはニュースを見てないから世の中の情勢に疎いんだけど、イスラム国って結構なことに……なってますよね?
佐藤 うん(笑)。
大石 湾岸戦争がまだずっと続いてるような感覚でいたら、いつの間にかすごいことになってる(笑)。
外山 イラクとシリアのかなりの部分が実行支配下にあるんでしょ?
大石 ぼくも最近知ってビックリした(笑)。
山本 こっちは日本のことで頭がいっぱいだったから(笑)。
佐藤 日本にも直結する問題でしょう。
山本 もちろんそうなんですけど。
佐藤 最初にシリアで揉めてたじゃん、反アサド政権の反政府勢力がどうこうって。その時にアメリカは反アサド派に武器を流したらしいんだよ。ところがそれがイスラム原理主義勢力にそのままダーッと流れちゃって、その武器を使って戦闘に勝っちゃってて。
外山 「イスラム国は悪い」ってのは、何が悪いの?
佐藤 西側的な価値観をまったく共有してなくて……信長の軍団が現れたようなもんなんだ。戦国時代みたいに、捕虜はみんなブチ殺して首切ってさ、晒して「わーい」っていう(笑)。一切話が通じない感じなんですよ(笑)。だってイスラム教徒じゃない人は人間じゃないってことだからさ。キリスト教徒とかが捕まって、「改宗か死か」って迫られてる。イスラム教徒になるか、死ぬかって(笑)。死にたくない人はみんなイスラム教徒になるしかない。一向宗みたいなもんですよ。一向宗がさらに恐ろしくなった感じ。
外山 無慈悲な一向宗(笑)。
佐藤 うん。一向宗的なノリの信長(笑)。
山本 手をつけられないじゃないですか。
佐藤 あるいは信長的なノリの一向宗。我ながらいい例えを思いついた(笑)。
外山 分かりやすい(笑)。


山本 国家って他国の承認があって初めて国家の扱いを受けますよね。
外山 だから相変わらず地図帳には載ってないけど、たしかシリアとイラクをもう半分ぐらいずつ押さえてるんでしょ。
山本 それでぼくはニュースでイスラム国がどう表現されるのか気になって、そこに注目して見てるんですよ。今のところ“国とか自称してるわー”という扱いですよね、報道でも。
外山 そんな感じだね。
山本 だから“反政府組織「イスラム国」”とか云ってて、何かオカしいだろって釈然としない(笑)。どこに対する“反政府”なんだか。“国”を名乗ってるんなら政府だろ(笑)。
外山 さすがに承認してる国はまだないんだ。
佐藤 さすがにないね、今のところ。
山本 そういうのって別に周辺諸国が承認しなくても、どこか遠い国が承認すればだいぶ変わってきますからね。
外山 井上ひさしの『吉里吉里人』でもまずIRAとかが吉里吉里国を承認してた(笑)。
佐藤 それぐらいだったら金で何とかなりそうだ(笑)。
外山 だって石油を押さえてるんなら、そのうち承認する国も出てくるかもしれないよ。
佐藤 北朝鮮なんか国家としては崩壊してるわけでしょ。だけど残ってる。つまり国民が死んでも飢えても貧しくてもかまわないし、近代化しなくてもかまわないって開き直っちゃえば政権は維持できるっていう見本なんだ。イスラム国もそうだし、そもそもアフリカなんか大体そうで、ほとんどの国家は崩壊してて、みんな飢えて死んでるんだから。それを誰かがどうにかしようとするかっていうと、結局誰もどうにもできずに放置されて、そのうち現地の山賊みたいなのが国を名乗ってる、というのに近い状況なんだよ、アフリカなんか。でもそれで通っちゃうんだ。もしかしたら中東もそうなっちゃうかもしれないってことだよね。もちろん石油が絡むからアフリカより重視されるけど、それを何とかしなきゃと思ってる先進国の側は人権問題とか兵隊の生命とか世論とか議会とか選挙とかに縛られてるから、あんな首刈り族みたいなのと戦争したって何の得もない、むしろ高くつくんだったら、仕方がない、石油を高く買って済ますかってことにもなりかねない。しかも中東問題でオバマちゃんがアタマを抱えてることを見越して、“進撃のプーチン”がウクライナに進撃してる(笑)。
大石 大変なことになってるんだ。しかしサウジアラビア以外にもトルコだってあるんだし、周辺諸国が手をこまぬいてるのがよく分からないな。
佐藤 やっぱり各国とも自分とこの問題で手一杯なんですよ。エジプトなんかもまた軍事クーデタが起きて、千人ぐらい死刑にするとか云って大騒ぎになってるし、シリアなんかそもそも内戦状態だし。トルコもすでに先進国の仲間入りを果たすぐらい近代化してるから、兵隊さんが死んだら困るし、戦争をやる利益がないんだよね。そういう意味ではイスラム国に対抗する動機も力量もあるのはイランぐらいだよね。イランは宗教原理主義国家で、しかもイスラム国から敵視されてるシーア派なんだから。
外山 じゃあイランにつくかイスラム国につくかって選択を迫られるかもしれないんだ。
佐藤 あるいはイスラエルにつくか(笑)。
大石 面白いと云うと不謹慎だけど、注目せざるを得ないなあ。
佐藤 だから代替エネルギーの開発が必要なんだよ。中東なんかと関わり合いにならないようにするためにも(笑)。