教養チェック 模範解答例

問1 以下の語について知るところを述べよ (各3点、計36点)

1アナボル論争
 広義にはアナキストとマルクス・レーニン主義者(ボルシェビキ)との間でおこなわれるさまざまの論争。日本ではとくに大正時代の大杉栄と山川均との間でかわされた論争を指すことが多い。

2プロ教師の会
 埼玉県の現職教員グループで、中心メンバーは河上亮一、諏訪哲二ら。80年代後半から90年代初頭にかけて刊行された別冊宝島『ザ・中学教師』シリーズで脚光を浴びる。確信犯的な「管理教育」肯定論が特徴だが、そもそもは伝習館闘争の支援グループとして誕生した。

3主要打撃論
 狭義には、ナチスの勃興期にこれを軽視して打ち出されたコミンテルンの方針を指す。その内容は、「ファシスト勢力よりも社会民主主義勢力の方が共産主義者にとって主要な敵である」というもの。これを敷衍して、極左派が、国家権力や右翼などよりも穏健な左派との主導権争いを重視するような方針や傾向のこと。

4新人類
 1980年代半ばの流行語で、戦中派や全共闘世代などの先行世代とはまったく異なる価値観や感性をもった(当時の)若者たちを指す。政治を忌避し、いわゆるサブカルチャー的な趣味に耽溺するような生き方を確信犯的に追求した1960年前後生まれの世代。

5アカイアサヒ事件
 前衛芸術家の赤瀬川原平が1970年代初頭にひきおこした「事件」。雑誌「朝日ジャーナル」に連載していた「櫻画報」最終回の、水平線から太陽のかわりに朝日新聞のロゴが顔を出すイラストと「アカイアカイ アサヒアサヒ」などの添え書きに、左翼偏向と批判されがちな朝日新聞社が過剰反応し、回収騒ぎに発展した。

6スタニスラフスキー・システム
 帝政ロシア末期からスターリン時代のソ連で活躍した演出家・スタニスラフスキーによる演技理論。それ以前の見世物的な演劇を否定してリアリズムを対置し、20世紀演劇の基本理論として世界的な影響力を持った。日本の新劇もこれを聖典化していたため、そこから分派していくアングラ演劇の主導者らには批判的検討の対象となった。

7日本語ロック論争
 日本のロック草創期である1970年代初頭に、はっぴいえんどの作品評価をめぐって起きた論争。そもそも欧米のリズムであるロックに、果たして日本語は「乗る」のか否かというもの。内田裕也が、ロックは英語でなければならないとする立場の代表的存在だった。

8内申書裁判
 1970年代初頭、在学中に「麹町中学全共闘」を名乗り政治的活動を行ったと内申書に記載されたために、受験した高校すべてに不合格になったとして、記載内容の違法性を訴えた裁判。原告の少年であった保坂展人とその支援者の運動が、80年代の反管理教育運動の源流となった。

9ブラック・パンサー党
 60年代後半から70年代前半にかけてアメリカで活動した急進的黒人解放運動グループ。60年代の黒人解放運動の指導者として、非暴力主義のキング牧師と武装闘争肯定のマルコムXが有名だが、ブラック・パンサー党は後者の強い影響のもとに設立され、実際に武装して白人の暴力に対抗した。

10だめ連
 もともとは1990年代初頭、神長恒一とぺぺ長谷川によって結成された早稲田大学のノンセクト左翼グループ。いい年をして定職につかない、労働意欲がわかない、モテないなど自身の「だめ人間」ぶりを自嘲的に前面に打ち出し、そんな「だめ人間」どうしの「交流」と、新しいライフスタイルの追究・実践で脚光をあび、90年代半ばに首都圏で拡大した。

11山村工作隊
 1950年代初頭、短期間だが武装闘争方針を掲げた日本共産党が組織した非合法部隊のひとつ。毛沢東の革命戦術にも影響され、農村部を拠点としたゲリラ闘争を追究した。1955年の「六全協」で武装闘争方針は撤回されたが、ふりまわされた若い党員たちの心情は文学作品などのテーマにもなった。

12退廃美術展覧会
 ナチス政権が開催した美術展。ナチスの肯定するロマン主義的、リアリズム的で「力強く健康的な」芸術を称揚する「大ドイツ美術展」と同時開催され、当時の前衛美術作品などを展示しこれを嘲笑した。


問2 以下の人物について知るところを述べよ (各2点、計24点)

1森恒夫
 赤軍派残党らで結成された連合赤軍の指導者。獄中で自殺。

2熊沢天皇
 敗戦直後、室町時代に断絶したとされる南朝の末裔であるとして昭和天皇に譲位を要求するなどして話題となった。

3樺美智子
 1960年6月15日の全学連国会突入の際の警官隊との衝突で死去した東大生。遺稿集に『人知れず微笑まん』。

4宮武外骨
 明治から大正にかけて活躍した異色の言論人。「滑稽新聞」などのパロディ紙を刊行し、不敬罪などでたびたび投獄された。

5野村秋介
 反体制的な「新右翼」の代表的存在。河野一郎邸焼き討ち、経団連本部襲撃で知られる。93年に朝日新聞本社に乱入し、自殺。

6黒田寛一
 日本の新左翼運動草創期からの有力な指導者。60年代半ば以降は革マル派の最高幹部として活動した。

7奥崎謙三
 戦時中の上官への責任追及の過程での殺人未遂事件や、昭和天皇へのパチンコ発射、天皇ポルノビラ配布など、異端的な反戦・反天皇の活動家として知られる。ドキュメンタリー映画「ゆきゆきて、神軍」の主人公。

8野坂参三
 戦前からの日本共産党幹部。戦時中は中国に亡命し中国共産党とともに活動、敗戦後「英雄」として帰国した。戦後長いあいだ共産党幹部として活躍したが、100歳を越えてから過去のスパイ活動などを暴かれ除名された。

9小原良子
 伊方原発出力調整実験反対闘争を呼びかけ、80年代末の反原発運動隆盛の端緒を切り拓いた大分県の主婦。

10パール判事
 東京裁判の判事の中でただ一人「日本無罪論」を展開したインド人の法律家。

11ローザ・ルクセンブルク
 カール・リープクネヒトとともにドイツ共産党を創設した女性革命家。1919年、蜂起に失敗し暗殺された。大衆運動の延長線上で革命を展望することを否定したレーニンの「前衛党論」を批判したことでも知られる。

12マルコム・マクラレン
 ロンドンで過激なブティック「SEX」を経営し、その常連客にセックス・ピストルズを結成させマネージャーを務めた。


問3 誰の著作か (各1点、計18点)

1一九八四年
 ジョージ・オーウェル

2第二の性
 ボーヴォワール

3プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
 マックス・ウェーバー

4万延元年のフットボール
 大江健三郎

5マルクス その可能性の中心
 柄谷行人

6日本改造法案大綱
 北一輝

7自動車絶望工場
 鎌田慧

8完全自殺マニュアル
 鶴見済

9特権的肉体論
 唐十郎

10収容所群島
 ソルジェニーツィン

11そして誰もいなくなった
 アガサ・クリスティ

12もの食う人びと
 辺見庸

13優しいサヨクのための嬉遊曲
 島田雅彦

14世界を揺るがした十日間
 ジョン・リード

15何でも見てやろう
 小田実

16豆腐屋の四季
 松下竜一

17突破者
 宮崎学

18無援の抒情
 道浦母都子


問4 以下の発表年を誤差2年以内で答えよ (各1点、計12点)

1イメージの詩
 1970年

2アジアの純真
 1996年

3歌舞伎町の女王
 1998年

4宝くじは買わない
 1970年

5玉姫様
 1984年

6精霊流し
 1974年

7ロビンソン
 1995年

8路地裏の少年
 1976年

9ライディーン
 1980年

10ロック・アラウンド・ザ・クロック
 1954年

11イマジン
 1971年

12アナーキー・イン・ザ・U.K.
 1976年


問5 何年の出来事か (各1点、計12点)

1よど号事件
 1970年

2スターリン批判
 1956年

3成田空港管制塔破壊事件
 1978年

4ブルーハーツ結成
 1985年

5ロス暴動
 1992年

6未来派創立宣言
 1909年

7キューバ危機
 1962年

8ウッドストック・コンサート
 1969年

9本多延嘉死去
 1975年

10ソ連のアフガン侵攻
  1979年

11フィリピン革命
  1986年

12日本共産党結成
  1922年 


問6 何年何月何日の出来事か (各1点、計12点)

1天安門事件(第二次)
 1989年6月4日

2アメリカ同時多発テロ
 2001年9月11日

3ジョン・レノン暗殺
 1980年12月8日

4羽田闘争(第一次)
 1967年10月8日

5三島事件
 1970年11月25日

6関東大震災
 1923年9月1日


問7 誰の作品か、劇作家名・ミュージシャン名(含、グループ名)を答えよ   (各1点、計14点)

1朝日のような夕日をつれて
 鴻上尚史

2黒く塗れ(Paint It Black)
 ローリング・ストーンズ

3作者を探す六人の登場人物
 ピランデッロ

4ホテル・カリフォルニア
 イーグルス

5十七歳の地図
 尾崎豊

6傘がない
 井上陽水

7野獣降臨(のけものきたりて)
 野田秀樹

8スカボロー・フェア
 サイモン&ガーファンクル

9紫のけむり(Purple Haze)
 ジミ・ヘンドリクス

10街頭劇・地球空洞説
  寺山修司

11 21世紀の精神異常者(21st Century Schizoid Man)
   キング・クリムゾン

12自衛隊に入ろう
  高田渡

13山谷ブルース
  岡林信康

14ゴドーを待ちながら
  サミュエル・ベケット


問8 5つ(5人)ずつ挙げよ (各5点、計60点)

1三島由紀夫の小説
 仮面の告白、潮騒、金閣寺、豊饒の海、鏡子の家、宴のあと…

2松本清張の小説
 或る「小倉日記」伝、点と線、ゼロの焦点、砂の器、けものみち、蒼ざめた礼服…

3吉本隆明の著作
 擬制の終焉、言語にとって美とはなにか、共同幻想論、最後の親鸞、「反核」異論、マス・イメージ論…

4ミシェル・フーコーの著作
 狂気の歴史、臨床医学の誕生、監獄の誕生、言葉と物、知の考古学、性の歴史…

5大島渚の映画
 青春残酷物語、日本の夜と霧、日本春歌考、絞死刑、愛のコリーダ、戦場のメリー・クリスマス…

6ビートルズの曲
 抱きしめたい、ヘルプ、イェスタデイ、愛こそはすべて、ヘイ・ジュード、レット・イット・ビー…

7頭脳警察の曲
 世界革命戦争宣言、銃をとれ、さようなら世界夫人よ、コミック雑誌なんか要らない、いとこの結婚式、歴史から飛びだせ…

8イカ天出身バンド
 たま、BEGIN、ジッタリン・ジン、マルコシアス・バンプ、ブランキー・ジェット・シティ、フライング・キッズ…

9原発のある都道府県
 福島県、福井県、北海道、静岡県、新潟県、茨城県…

10日本の赤軍諸派のメンバー
  塩見孝也、重信房子、岡本公三、丸岡修、田宮高麿、森恒夫、永田洋子、坂口弘…

11著名なアナキスト
  プルードン、クロポトキン、バクーニン、シュティルナー、幸徳秋水、大杉栄、辻潤…

12幕末長州の志士
  吉田松陰、高杉晋作、久坂玄瑞、桂小五郎(木戸孝允)、伊藤博文、山県有朋、井上馨… 


問9 誰の言葉か 各1点、計6点)

1思想に自由あれ、しかしまた行為に自由あれ、さらにはまた動機にも自由あれ
 大杉栄

2歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は茶番として
 マルクス

3メディアはメッセージである
 マクルーハン

4とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く
 橋本治

5身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留置かまし大和魂
 吉田松陰

6うつし世は夢 夜の夢こそまこと
 江戸川乱歩 


問10 空欄を埋めよ (各1点、計6点)

1教え子をふたたび○○へ送るな
 戦場(日教組の代表的スローガン)

2手術台の上の○○と○○の出会い
 ミシン、こうもり傘(アンドレ・ブルトン『シュールレアリズム宣言』)

3ここは○○です、立ち止まらないでください
 通路(新宿西口フォーク・ゲリラ弾圧時の権力側の「警告」)

4○○が権力を奪う
 想像力(フランス五月革命時の有名な落書き)

5人生は一行の○○にも若かない
 ボオドレエル(芥川龍之介)

6起て○○よ、今ぞ日は近し
 飢えたる者(「インターナショナル」の歌いだし)