反体制右翼マガジン『デルクイ』創刊宣言

外山が事実上の編集長を務める不定期刊雑誌『デルクイ』(彩流社)の巻頭言
11年1月(予定)

 まったく新しい若者向けオピニオン誌『デルクイ』をお届けする。

 世の中かなりマズいことになっていると、ほとんど誰もが思っている。早く手を打たなければ、ますますマズいことになると、ほとんど誰もが思っている。
 でもどうしようもない。
 問題に対処するための社会的政治的な機能そのものが失調していて、何とかしなきゃいけないことは分かっていても、結局何もできないのだ。
 マスコミでも、議会でも、ネット上でも、そこらへんでも、さまざまの意見が飛び交っているが、ただそれだけである。

 状況は絶望的に思われる。

 こういう時、突破口は一つしかないのである。
 とにかく若者が暴れることだ。

 したがって本誌は、若者たちを扇動する。
 近年、若者たちは右傾化していると云われるし、実際、どうもそのようである。
 ならば本誌は、若者たちが右翼的な方向で暴れ始めることを煽る。
 重要なのはとにかく若者たちが暴れ始めることであって、その方向性が右翼的であろうと左翼的であろうと、そんなことは本誌としては本来どっちだってよい。
 しかし、左翼的な方向での若者たちの大暴れは、すでに60年代末におこなわれている。いくらとにかく暴れてもらわなければならないにしても、同じことをやれというのはさすがに気がひける。
 その点、右翼的な方向での若者たちの大暴れというのは、少なくともこの国ではまだ試されていない(幕末は近代以前であるからまだ右も左もない。一次大戦後のイタリアやドイツに典型的な、右翼革命運動としての下からのファシズム運動も、この国では本格化しなかった)。やはり若者たちには、せっかくなら未知の可能性に挑んでもらいたいし、ちょうど若者たちは右傾化しているようだから、そっちの方が現実的でもある。

 本誌に登場するのは、必ずしも右派の論客たちばかりではない。左派も、ファシストやアナキストも登場するし、その他、何だかワケの分からない珍妙な論客も登場するかもしれない。
 論者の立場がどうであろうと、今どきの〈右傾化した若者たち〉を鼓舞し、成長させ、扇動しうると本誌が判断すれば何でも載せる。
 結果、仮に今どき間違って左傾化した若者たちにとってさえ、こんなに面白く、刺激的で、ためになる雑誌は今、他にないはずである。