原発推進派懲罰遠征
懲罰遠征3勇士(外山恒一・山本桜子・東野大地)
司会 中川文人
2012年12月29日 東京・高円寺「素人の乱12号店」にて
2013年11月刊行の『デルクイ02』に掲載
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中川 定刻となりましたので始めます。本日、司会を務めます中川文人です。共産主義者でございます(笑)。日本にもいろんな共産主義者がおりますが、私はちゃんとレニングラード大学、つまりレーニンさんが通い、プーチン大統領、メドベージェフ大統領を輩出した大学の出身で、グローバル・スタンダードの共産主義者であります。グローバル・スタンダードの共産主義者と日本の左翼では何がどう違うのかといいますと、ニューヨーク・ヤンキースと日大付属なんとか高校の野球部くらいの違いというか、ベルリンフィルハーモニーと和光市市民交響楽団くらいの違いというか、そのくらいの違いがあります。あんまりこういうことを云いますと、ただでさえ少ない友だちがより少なくなる、というか、ただでさえ多い敵がより多くなりますので、このへんにしておきますが、まあ、そこらの左翼とはちょっと違うんだな、ということさえ分かっていただければ結構です。 (拍手) 中川 まずは3勇士のみなさんの自己紹介から……。 外山 外山恒一です。 中川 あの有名な!(笑) 外山 この会場(東京・高円寺「素人の乱」12号店)のある界隈に私にそっくりな人が出没して粗相を働き、あちこちの店に出入り禁止になっていて、「あれが外山か、やっぱりロクでもない奴だ」と噂が立っているようなんですが、それは私ではなくて、私がホンモノの外山恒一であります!(笑) 東野 東野大地といいます。二〇〇九年に九州に移住しました。よろしくお願いします。 外山 もともとの出身は……。 東野 滋賀県です。(聴衆に右派が多いのに気づいて?)あ、移住したのは平成21年です。 中川 ファシストなんですか? 東野 はい。 (会場から「おおーっ」のどよめき) 東野 それでは山本さん、お願いします。 山本 山本桜子と申します。平成19年に九州に移住しました。ダダイストです。ダダイズムというのは、ファシスト党の上部団体の思想です。ノブレス・オブリージュ、高貴なる者の義務ということで、ファシスト党に協力しています。 外山 まあこういう、「可哀想な子」です(笑)。東野大地と山本桜子、どっちも本名なんですよ。マンガか君らは、って感じの2人ですが(笑)、よろしくお願いします。 中川 把握してない方っています? (1人挙手) 中川 ……まあ、おいおい分かりますよ(笑)。じゃあ、「原発推進派懲罰遠征」というのがどういう闘争だったかはほとんどのみなさんが把握しているってことで、ではそもそも今回の闘争はいつ頃から計画してたのかって話を聞かせてください。 外山 今回ぼくらは街宣車を使ってたでしょ。それは九州のとある原発推進派の右翼団体から格安で譲ってもらったんですが……。 山本 春頃じゃなかった? 外山 街宣車を譲ってもらったのは6月で、だから少なくともそれより前だよね。アイデアはあったけど、じゃあ街宣車をどうしようって話をずっとしてて、今もぼくが乗ってる軽自動車があるんで、その屋根にスピーカーを設置しようかとか云ってたところに、さっきの右翼青年の登場があって、格安で街宣車が手に入る話になったので、それはもう買うしかないでしょ、と。 中川 実際の政治状況に具体的影響を与えるわけでもないのにあれこれ思い悩んでたんだ(笑)。 外山 全然関係ないのにね。困るんだよ、石原に勝手なことされると(笑)。その上さらに衆院解散・総選挙、なんてことになったらもうパニックだからやめてほしい、野田クンには任期いっぱい頑張ってほしいと思ってたんだけどね(笑)。 山本 トルエン中毒に……。 外山 そうそう(笑)、油性塗料で一晩じゅう街宣車の看板を書いてたらトルエン中毒で頭がクラクラしてきた。 中川 外山恒一ってのは二〇〇七年の都知事選のイメージが強いから、ネットでの活動が中心だと思ってる人が多いんですよ。だけど今回は見事に、九州全土にわたる街頭闘争を展開されて、非常に高い評価を……狭い業界内で(笑)。 外山 全国の心ない反原発派の人たちからの熱い支持を(笑)。 中川 「今回は街頭で勝負したるんや」的な思いがあったんでしょうか? 外山 自分としては、そんなに特殊なことをやったつもりはないんだけど。 中川 ネットを使うとか、そういう情報戦のことを選挙の世界で一般に「空中戦」と云うんだけど、今回の外山先生はまさに「地上戦」をやったわけです。で、やっぱり地上戦をやる方が大変なんですよ。 外山 でもそっちの方が面白いですよ。 中川 もちろんそうなんだよ。しかしその地上戦の面白さをまたネットで実況中継して伝えるというのは非常に画期的だった。 外山 そうだね、ツイッターというツールがなかったら今回のもまた違う展開になってたかもしれないね。ツイッターがあったから、今どういう状況になってるのか、リアルタイムで刻々と報告できた。 中川 今回は時々ユーストリームでの中継もやってたでしょ。ぼくもそれを見てたんだけど、ビンラディンが殺される時にオバマやヒラリーがそれを動画中継で見てたのもこういう感じだったんだなあって体験しましたよ(笑)。 外山 あ、街宣車がなかなかターゲットの選挙カーまで追いつかないんだよね(笑)。つまりぼくが街宣車で選挙カーを追っかけるんだけど、選挙カーのすぐ後ろにつけて街宣すると向こうの出してる「ナントカ候補をよろしく」って音をかき消しちゃって、法的に選挙妨害ってことになりかねないから、多少の距離を置いて追っかけることにしたんだよ。 会場 あれオカシかったですよね、桜子さんが、「外山さん、そっちじゃないって、もう、バカ!」って云うシーン(笑)。 中川 じゃあそれをちょっと見てもらいましょうか。あれは大分だよね。(問題のシーンは1:10あたりから) 外山 ただこの時は選挙カーを見失ったんじゃないんですよね、逃げたんです(笑)。支援者が大量に集まってる屋外集会の会場に入ってしまいそうになって。 中川 理論的な部分についてもいろいろお伺いしたいんですが、どこまでが合法で何をやったらダメなのかってあたりは、どのように考えて計画を立てたんですか? 外山 何と云うかねえ……人間、都合の悪いことは目に入らないようになってるんですかね。事前に公職選挙法の該当する部分はちゃんと読んだんですよ。「選挙妨害」っていう項目がありますからね。「候補者の選挙運動を妨害してはならない」ってこともそのあたりにちゃんと書いてある。妨害すると「選挙の自由妨害」っていう罪に問われる。 中川 実際にはどの段階で警告を受けたんだっけ? 外山 順を追って話すと、まず……。いや、じゃあ最初に警察に取り囲まれた場面も見てもらいましょうか。(問題のシーンは7:10あたりから) 中川 ところで君たちが追いかけた原発推進派の候補者の方々は落選されたんですか? 山本 共産党の人は落ちた。 外山 我々の闘いによってね(笑)。 東野 さっきの動画で「この人は何やっても当選しそうだ」って云ってた大分の……。 外山 吉良州司。彼も落ちたね。まあつまり我々がいかに議会政治の情勢を分かってないかってことだよね(笑)。実際、追っかけてる時は「コイツ絶対落ちねえな」って思った。地盤、地盤、地盤ってとこばっかり回られて、道々から支援者らしき人々が握手を求めて湧いて出てきてたから、いかにも安定した候補者に見えた。 中川 (動画を見ながら)警察が出てきた。これは何日目? 外山 えーと、5日目かな。初日は熊本1区で松野頼久っていう、維新の会の候補者を追っかけて、2日目はさっきも出てきた大分1区の吉良って人ね。3日目が福岡2区の鬼木っていう自民党候補で、4日目に熊本2区で自民党の野田毅っていうベテラン議員を追っかけようとしたんだけど選挙カーを見つけられなくて、5日目に再挑戦して、朝から野田の選挙事務所を張って捕捉したんだ。そんでしばらく追っかけてたら、警察を呼ばれた。 東野 そうですね。 外山 鹿児島は、この熊本2区の翌日か。 東野 です。 外山 鹿児島でもまだ最初から警察の尾行がついてたわけじゃないよね? 東野 そうですね、ついてなかった。 外山 鹿児島1区で、山之内ナントカっていう維新の会の若い候補者を追っかけた。選挙カーには山之内本人は乗ってなくて、選挙スタッフだけだったんだけど、まず彼らが交番に駆け込み……。 中川 どういう状況だったんですか? 東野 署の中で話を聞きたいから車から降りなさいってずっと云われてたんですけど、「話ならここでもできるじゃないですか」って降りるのを拒否してたんです。「自分が何をやったのか分かってるだろ」って云うんで、「よく分からないので説明してください」って。 中川 警察の敷地にいたんでしょ。「おまえはここで何をやってるんだ」って訊かれるでしょ、普通(笑)。 東野 訊かれましたね。でもそういう質問については無視して。 外山 「人を待ってるだけだ」(笑) 中川 自分から敷地内に入っておいて「おれに何の用だ」ってのは筋が通らないよ(笑)。 東野 「そんなふうにダンマリを決め込んでても意味ないぞ。話した方がラクだぞ」みたいなことも云われたんですけど、それもずっと無視してました。そしたら最後には警察の方が折れて……。 外山 いや、ウチの若いモンたちは場慣れしてないし、全体的にコミュ力にも問題があるから(笑)、警察と揉める状況になったらどうなるか心配で、事前に「警察に対応するな、そういう状況になったらぼくが全部対応するから、君たちは警察が何云ってきても無視しろ」とは云ってたんですよ。それはぼくの街宣車も一緒に取り囲まれる状況を想定して云ってて、東野君たちだけが取り囲まれる状況は想定してなかったんだけど、どうもその助言を頑なに守り続けていたみたいで(笑)。 東野 警察側の顔ぶれも次々に入れ替わって、車を持ち上げる……何て云うんですかね、ジャッキ? あれを積んだ警察車輛を両側につけられたり、そういう脅しみたいなこともあって、内心「ヤバいな」と思ってたんですが、最終的には向こうが折れたみたいで、ポスターの裏みたいな白い紙に「あなたがたの行為は軽犯罪法に抵触します」ってことが書かれたのを見せられた。「これは警告です 鹿児島県警」とか書いてあって。「具体的にどういう条文に触れるんですか」って訊いたら、「つきまといだ」って云われた(笑)。 外山 その話を聞いて、「やっぱり公職選挙法違反じゃないんだ」と思いました(笑)。例の「威力」の文言にはその時点ではまだ気づいてなかったんで、警察としても困って「軽犯罪法の『つきまとい』」ってのを出してきたんだろうと。なかなか考えたな、と。 中川 しかしそれも実はこの20年ぐらいの大きな傾向ではありまして、つまり左翼の人も右翼の人も政治的な動機でさまざまの“コトを起こす”わけなんですが、なかなか「政治犯」にはしてもらえないんだよね。それが高度に発達した先進国家のやり方なんです。 外山 やっぱりそれは「政治犯」にはしたくない、と。今回も我々は「選挙制度の破壊」を意図してるわけなんだから、本来なら破防法とか適用されてしかるべきなんだが……(笑)。 中川 こっちは国家の根幹に手をかけようとしているのに、当の国家権力は軽犯罪法の「つきまとい」で処理したがるという。 外山 公職選挙法が出てきたのは何日目だっけ? 東野 鹿児島の次の日ですね。 外山 宮崎か。まあぼくらの方は単に「威力によって」って文言を見落としてただけなんだけど、警察としてもこれを一体どう取り締まっていいのか分からなかったんだろうね。だから熊本ではとりあえず物理的に追尾続行が不可能になるように取り計らっただけで、鹿児島では「軽犯罪法違反」で、宮崎でようやく公職選挙法が出てきて、「威力による選挙の自由妨害」であるという警告を受けた。 中川 いわば定説がない。 外山 うん。つまり「県警によって判断の分かれるケースなのだ」ということで(笑)、一度警告を受けた県でまたやると今度は検挙ってことになるかもしれないけど、まだ警告を受けてない県では、警告を受けるまではとりあえず試しにやってみてもよい、と(笑)。やってみなきゃそもそも法に触れるのかどうかも分からないわけだから。熊本県警は法には触れないと判断したわけだしね。 中川 これもまた非常に重要な問題でありまして、若い方にはよく分からないかもしれませんが、昔は地球の半分が治外法権だったんです。ぼくはソ連の大学に行ってたわけだけど、ハバロフスクの空港に降り立った段階で、日本の警察はぼくにはまったく手を出すことができなくなる。そこからは東ドイツにだって中国にだってぼくは行けるわけですよ。 外山 国家権力が本当に恐れるのは他の国家権力だけなんですよね。 中川 そうなんです。アメリカのFBIだろうが日本の公安だろうが、国内では警察官は法律に守られてる。だけど日本の警察官であってもハワイに行けばただの民間人なんです。そういうことを国家権力のみなさんは非常に厭がる。国境とか、あるいは県境というものが今回のような闘争には非常に重要なファクターで……。 外山 まあ実際そういう作戦だったんですよ。逮捕されることを覚悟はしていたが、避けられるもんなら避けたいので、じゃあどうすれば避けられるかってことで考えた作戦の一つが、県を毎日変えるってことだったんです。 中川 まさにそれが、地上戦を展開する上で重要なヒントなんです。暴走族の皆さんも昔そうだったんですよ。東京で走ってて、白バイに追われた時はとにかく埼玉県や千葉県を目指す。そしたら向こうは県境で引くっていうんだよね。 外山 そうかそうか、それと同じだ。 中川 暴走族と一緒(笑)。だからこれから地上戦を計画する人たちには是非そこらへんの機微をね。 外山 もちろんそうやってまんまと次の県に到着しても、「何々県なう」とか呟かない(笑)。我々が何県で行動を開始するか、朝になってみないと分からないようにしてた。必ずしも隣県に移動するわけじゃなくて、フェイントで隣々県ぐらいまで一気に移動してみたり。着いたら朝までネット・カフェの駐車場かコイン・パーキングに街宣車を停めるんだけど、ブルーシートかぶせてたしね(笑)。まあ向こうが本気になってNシステムとか活用し始めたらムダなあがきなんだけど、いきなりそこまでの対応はしないでしょ。 中川 そんなふうに警察にもテリトリー、管轄の問題があるっていう話なんですが、もう一つ重要なのが、さっきの動画にもバッチリ記録されてた、熊本の野田毅だっけ? 彼が思わず「渡辺喜美からカネもらってんのか」って口走ったという話。 外山 あんなの一般刑事犯だと(笑)。 中川 そう。 外山 知らない人もいるでしょうから説明しときますと、中川さんというのはレニングラード大学出身なんだけど、レニングラードにご留学される前は法政大学に通ってて、法政大は中核派の拠点なんですね。だからそのシマを守ってる中核派の活動家もいっぱいいるんだけど、それ以外にもとくにどこの党派にも組織されてない云わば個人的過激派の学生もいっぱいいて、ずっと中核派に締めつけられながら活動してたの。 中川 ともかく「カネになる」なんて話を度外視できるかどうか、これが非常に重要な問題です。 外山 さっきの県境云々の話に戻すと、まず一つには、実際やってみてそうだったように、ぼくらへの対応が県警によって分かれるだろうから、それを活動をしつこく継続する云いわけにできるんじゃないかという目算があった。 中川 今回の外山さんの悪知恵では、そこが一番素晴らしいと思いますね。警察は起訴まで持って行かなきゃ成績が上がらないし、検察に怒られるわけですよ。検事さんは起訴された案件を裁判で有罪にできなければ出世に響く。ニセ左翼である日本の左翼の人たちは警察官や検事のことを極悪人のようにイメージしてるけれども……。 外山 単なる役人だよね(笑)。 中川 うん、ただの公務員なんです。だからやっぱり「正義の実現」なんてことよりも、自分の出世の実現の方が大事なんです。そのへんの気持ちを分かってあげた上で彼らには対処しないと、つまんないところで損をする。やれる闘争もやれない気がしてしまう。 外山 だからこっちも、本当にヤバいなあと思ったら云いますよ、「今日だけですからぁ」って。「見てるでしょ、ツイッター」って(笑)。 中川 でも東京でやったら初日に逮捕されてるね。警視庁は警察庁と事実上同格の組織だから、多少強引なこともできる。 外山 やるなら地方ですよ(笑)。 会場 公選法違反の取り締まりというのは捜査二課の中の知能犯担当がやるんです。知能犯の扱いなんですね。 外山 だから警察と知能比べを……。 中川 今までにそういう事例がなかったんだろうなあ。 外山 鹿児島での「つきまとい」による警告にしてもね、警告されてもなお山之内クンの選挙カーを追いかけ続けたら今度は逮捕されるかもしれないけど、軽犯罪法のその条文を読むと、「相手が不安若しくは迷惑を覚えるようなやり方でつきまとう」ことが軽犯罪法違反とされてるんです。ということは、「相手によるじゃん」ということでもあるんですよね。 中川 親告罪ってこと? 外山 親告罪であるかどうかは知らないし、たぶん親告罪ではないと思うけど、「不安」とか「迷惑」とか被害者側の主観でしかないような文言が入ってることは事実なんで、警察としてもまず当事者に「不安ですか? 迷惑ですか?」って確認しないと立件のしようがないはずでしょ。 中川 被害届が必要ってこと? 外山 いや、被害届という形式まで踏む必要があるかどうかはともかく、口頭であれ何であれ、いったんは被害者側が「不安だ、迷惑だ」って「感じてる」ことを確認する段階が必要なはずだってこと。 中川 相手がイヤだと云えばやめるという。 外山 うん、非常に紳士的な(笑)。だってこっちはただ原発問題について啓発する活動をおこなってるだけで、まさか相手に「不安若しくは迷惑」を覚えさせるつもりなんか、ツユほどもないわけですから(笑)。 中川 だんだん人が信じられなくなってくる(笑)。 外山 まあ原発推進の候補者なんかいくらでもいるんで(笑)、こっちもいくらでもやれるってことです。「威力による選挙妨害」という公選法違反については被害者側の主観はあまり関係なくて警察の判断で警告できそうだから、さっきも話したように、少なくとも同一県内では繰り返せないけど。 会場 判例とかはどうなってるんですか? 外山 いやあ、そこまではちょっと……。だって事前に確認しとこうと思って、公選法の条文をしっかり読んだつもりで肝心の「威力によって」って文言を読み飛ばして、「よし、大丈夫だ!」とか云ってたぐらいだから(笑)。 会場 判例とはまた違いますが、公選法の通常の運用の仕方だと、選挙期間中に逮捕するってことはまずありえないんですけどね。選挙ポスターを破るとか、そういう露骨な選挙妨害なら別ですけど。 外山 でもそれは候補者や運動員の話でしょ。選挙期間中に候補者や運動員を、実際に有罪にできるかどうかも分からないケースで逮捕してたらそれこそ警察による選挙妨害になりかねない。だけどぼくらは選挙に出てるわけじゃないから、そこまで手厚い人権保障は期待できない。 会場 候補者にいたっては、警察が候補者に話しかけること自体が選挙の自由妨害と見なされるんで、何かあっても候補者じゃなく選対の事務局長とか、候補者以外のスタッフに警察から連絡が入る。ぼくも実は、ある公職選挙法違反の候補者の運動員をやっていたもので……。 外山 そのへんの話には詳しいよね。これまた知らない人のために説明しとくと、今コメントしてくれた彼は以前、福岡でぼくらが仲良くしてる「維新政党・新風」っていう恐ろしい極右組織のメンバーで(笑)、今は東京支部のメンバーなんですが、福岡にいた時に本山貴春君というやはり新風のメンバーが市議選に出て、彼がその選対本部長をやってたんです。 会場 さっきの話ですけど、警察は選挙事務所にも電話をかけてこない。事務所にかけたら候補者本人がいるかもしれないから、候補者が電話に出て「本人です」と云った時点で「選挙の自由妨害」になりかねないんで、ネット選挙に対する警告も、事務所じゃなくて選対本部長であるぼくの携帯にかかってくるんです(笑)。 外山 しかし関係ないけど、警察は東野君の名前をちゃんと把握してたよね。 東野 鹿児島で免許証を提示しましたから。 外山 うん。だから県警間の連携も一応、少しはあるんだよね。ぼくは少なくとも6日目の時点では東野君の名前をツイッターとかで出してないんだけど、鹿児島の次の日に宮崎で東野君が警察に囲まれた時は、警察は最初から東野君の名前を知ってた。ただたぶん書面で連絡を受けただけで、「ヒガシノ」なのに宮崎の警察は「トウノくん、トウノくん」って呼びかけてた(笑)。 東野 失礼な話だ。ぼくはトウノではないんで話しかけられても無視してたんです(笑)。 外山 ぼくが公選法違反で警告されて、その後も東野君はずっと追尾を続けてて、ぼくもそれに追いつこうと連絡取り合いながら追っかけてるうちに、さっきも云ったように宮崎では土地鑑がないから何時間も追いつけなくて、まだぼくが追いつかない段階で今度は東野君も警察に取り囲まれた。それは動画では記録が残ってないんだけど、静止画と音声だけ残ってるんで、これも後でちょっと見てもらいましょうか。 中川 桜子さんは今回は警察に囲まれなかったんですか? 山本 熊本で最初に取り囲まれた時だけですね。 外山 まだあんまりシビアじゃない時だね。ぼくの街宣車も一緒に囲まれて、ただ相手と引き離されただけで、「ほどほどにしてよ」って云われたっていう。 山本 次の日から他の用事で3日間、私が別行動してる間に鹿児島と宮崎でそういうことがあったらしい。
外山 ぼくがなかなか追いつけなくて、東野君が1人で選挙カーの追尾を続けてるんですね。 中川 知能犯なのに行動が行き当たりばったりだという……(笑)。 外山 さっき云ったように、音声だけなんですけどね。(8:19あたりから) (東野が宮崎で「軽犯罪法違反」の警告を受けている音声) 外山 こんな状況だったんですよ。これだけモノモノしいと、周りにいっぱい集まってる野次馬も、まさか容疑が「軽犯罪法違反」だとは思いも寄らないでしょうね(笑)。 中川 オウムの逃亡犯並みの扱いだよなあ(笑)。 会場 東野さんが外山さんの活動に参加し始めた頃には、こういう状況になった時に、こんなふうに警察に切り返せるような人だったんですか? 外山 切り返してないじゃないか(笑)。 会場 いや、でもたいして動じずにトボけたりとか……。 中川 トボけてる自覚はあったの? 東野 まず鹿児島で1人で取り囲まれた時には正直云ってビビってたんですけど、宮崎の時は思考停止してましたね(笑)。とりあえず黙ってようってことだけ考えて。 山本 この翌々日に私が再合流したら、東野が「なんで今回の行動が楽しいのか分かった。人と喋らなくていいからだ」とか云ってました(笑)。 外山 普通の運動は人と話してナンボだからね。 中川 性格の暗い人に向いた運動ですね(笑)。 東野 たぶんそうです。少なくともぼくには向いてましたね。 中川 それでもそこらへんの女性につきまとうより、悪い奴につきまとった方がよっぽど正義ですからね(笑)。 外山 山本桜子はさっきの熊本の、「渡辺喜美からカネもらってんのか」の名台詞が飛び出した日まではいたんだけど、その後3日間、所用で別行動してて、だから鹿児島と宮崎では東野君は1人で警察に取り囲まれてたのね。で、また8日目に合流するんだけど、そしたら東野君の性格が変わってたと証言しています(笑)。 山本 やたらと強気になってましたね。ドライビング・テクニックも上達してて。 外山 前は相当危なっかしかったもんね。 山本 今回の行動の前に一度、東野の運転で街宣車でドライブしたことがあるんですけど、とても怖かった。 外山 やっぱり一度警察に取り囲まれてみるっていう経験は重要だ(笑)。 中川 国家権力というのは抽象的なものではなく具体的なものなんだってことを、みなさんも早めに経験して理解した方がいいです。 外山 彼らがどこまでやれるのかってことも、だんだん分かってくるしね。 中川 そりゃあ警察は非常に強力な権限を持ってますよ。人を閉じ込めることができるんだから。だけどそれにも期限というものがあるし、閉じ込めてる間もメシは3食出してくれるし、拷問とかしないし(笑)。ビックリしたよ、劇画の世界とは違うなあって。 外山 まあ我々は多少、政治的背景のある人間だと思われてるから手荒にされないという側面もあるのかもしれないけどね。 中川 それはあるかも。公安事件だと、看守の人たちも下手なことしたらすぐ弁護士が来ると思ってるから。だからもしパクられた時は公安事件にしちゃった方が得です(笑)。 外山 実際は単なる一般刑事犯的な事件であったとしてもね。 中川 そういえば学生時代に私の知り合いで居酒屋でサラリーマンと喧嘩して公安事件になった奴がいましたね。相手のサラリーマンを殴る時に「てめえー、中核ー、殲滅だー」とか云ったら、公安刑事が飛んできたんだって、内ゲバ事件かと思って(笑)。 外山 その人は単に酔った勢いで「中核派め」とか云ってただけなんだ。 中川 うん。法政では「馬鹿野郎、コノ野郎」ぐらいの意味ですよ(笑)。 外山 計算ずくで云ってたわけでもなく……。 中川 法政の場合、人に喧嘩を売る時は「おまえ、中核だろう」と云うことになってる。そういう作法があるんです。学生手帳にも書いてあったと思う、20年以上も前のことでよく覚えてないけど(笑)。とにかく、ただの酔っぱらいの喧嘩でも相手が中核派だと公安事件になる。部署が変わるんですね。 外山 ぼくは前科三犯なんだけど、まあ3つとも表面的にはただの一般刑事犯だからね(笑)。表面的には、ですけど。 中川 そうそう、逮捕されるなら政治犯として逮捕されたほうが得です。政治犯として逮捕されるとヒドい目に遭うと思ってる人が多いようですが、現実は逆です。政治犯がヒドい目に遭ったのは、幸徳秋水とか大杉栄とか小林多喜二の時代の話です。今は政治犯のほうが優遇されます。 外山 そういう細かい知恵について話し始めるとキリがないんだけど、とにかくまあ、一度は警察に取り囲まれてみるべしと。そうすれば彼らも単なる公務員、役人でしかないってことが実感できる。東野君もいっそ捕まった方がよかったかもね。 東野 そうですね。 外山 惜しいことをした(笑)。 中川 イッヒッヒ。 その2へ
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