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2006年11月 アーカイブ

2006年11月05日

森達也『こころをさなき世界のために』(洋泉社新書y)より

 重要なことは、当事者への想像力と同時に、非当事者であることの自覚です。ところがいまの日本社会は、誰もが被害者の痛苦を表層的に共有したような錯覚に陥って、「許せない」とばかりに、加害者を憎悪します。要するに被害者への過剰な感情移入が、いつのまにか主語を社会や国家に委ねていることに気づかない。つまり誰もが当事者の気分でいる。これでは連鎖は続きます。被害者や遺族が加害者を憎むことは当たり前です。僕だってもしも家族を殺されたなら、法の裁きを待つ前に犯人に復讐するかもしれない。当事者ですから。でもその憎悪を、非当事者が引き受けてはならない。

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